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インターネットでは両端が制御するではインターネットの場合はどうでしょう。
まず、インターネットの原理としてお話しした鉄道のモデルをもう一度、思い出していただきたいのです。
インターネットの世界というのは、既存のデータ通信の仕組みと違って、知性のない端末とホスト・コンピュータを結ぶためのインフラストラクチャーではないということが前提です。
インターネットでは、コンピュータとコンピュータが話すのです。
現在のコンピュータは非常に強力なCPU(中央処理ユニット)と、大きなメモリーをもっています。
そうしたコンピュータが両側にあることから、既存のデータ通信とは違う視点で、「中間」を考えることができるようになるし、そうでなければならないのです。
いま多く使われているコンピュータを見てみると、パソコン上ではウィンドウズが動き、マッキントッシュOSが動き、OS/2が動きます。
ワークステーションではUNIXが動きます。
そしてそれらすべてのOSにはTCP/IPと呼ばれる、インターネット用のプロ第1葦インターネットの仕組みトコルが乗っているのです(プロトコルとは、コンピュータが通信しあう時の約束事です)。
インターネットをこの角度から定義すると、TCP/IPというプロトコルを使用してつながっているコンピュータのネットワークだと言えます。
TCPについてごく簡単に説明を加えますと、それはトランスミッション・コントロール・プロトコル、すなわち、転送の制御をするプロトコルです。
このTCPが、IP(インターネット・プロトコル)とセットになって、・インターネット上のコンピュータの通信を制御しているわけです。
この転送の制御の仕組みは、基本的にそれぞれのコンピュータが責任をもって、種々の先ほどバーチャル・サーキットを形成するために必要だと説明した「フロー・コントロール」「コンジェスチョン・コントロール」「シーケンシャル・コントロール」など―をして、信頼性を高めるというものなのです。
両端の能力が低い場合には「中間」がしなくてはならない、混雑をしたときに正しいデータを送るための仕組み、データが途中で壊れたときに再送して正しいデータを復活させるための仕組み、入れ違った順番を直す仕組みを、両側のそれぞれのコンピュータにまかせることができる時代が来たということです。
データグラムのネットワークインターネットは、基本的に両端のコンピュータだけで転送の制御をする―逆に、両端のコンピュータしかこの制御をしていないともいえます。
これは、どういうことかと言いますと、先ほど説明した既存のデータ通信とは全く逆に、「中間」はもしかしたらデータを送ってくれないかもしれない、「中間」はそれでよいということを前提としたネットワークなのです。
こういう点に注目するとインターネットは、「信頼性のない」「データグラム」のネットワークだと言えます。
「データグラム」というのは、バーチャル・サーキットに対応するもうひとつのデータ通信の概念です。
バーチャル・サーキットというのは、いったんつながったら、あとはデータをその―本の回線に流すという仕組みでした。
それに対してデータグラムというのは、回線を引かずに、―個一個、決まった単位でそれぞれに宛名をつけてデータを送るという仕組みな第1睾インターネットの什組みのです。
同じ相手にあてたデータを小分けにして、―個一個に必ず宛先を書いて送るのですけれども、順番は狂って着くかもしれないし、ひょっとするといくつかは届かないかもしれません。
それから、別の経路で着くかもしれないわけです。
インターネットが「中間」に期待しているのは、この程度でよいのです。
このことは、インターネット全体を考えていく上で、きわめて重要な意味をもっています。
データの通信を、両端のコンピュータがコントロールしているので、送るデータの質に応じて、送り方も選べるからです。
信頼性を要するデータを送るときは厳密に両端かコントロールし、そうではないデータのときは「ゆるく」送ればよい、そのようなことができるのです。
送日ソ方を選べるという能力このことは、インターネットがさまざまなデジタル・データをあつかう時のたいへん大きな可能性をつくり出しました。
たとえば、コンピュータのプログラムや、何かの文章を通信で送るときには、データは―ビットでも狂ってしまっては困ります。
こういう場合には、何度再転送してでも、正しく送らなければ意味がありませんから、両側のコンピュータがそのような制御をする。
では、ビデオの通信はどうでしょう。
ビデオというのは、日本のNTSC方式では一秒間に三〇枚の画面が送られています。
もしこのデータを―枚一枚少しの漏れもなく厳密に送ろうとすると、「中間」の回線も両側も、非常に高い能力が必要になります。
しかし、人間の眼では、―秒間のうちいくつかのコマが落ちても、ほとんど気がつきません。
こういう場合には、壊れたデータは再送するのではなく―実際再送して遅れて届いても、使い道はありません―むしろそのまま落としてしまったほうがよいわけです。
また、ある画面のなかで、直前の画面と比べて変化があった部分のみを送るという方法で、動画のデータを効率よく送るMPEG(エムペグ)という技術も開発されています。
このように、人間のコミュニケーションにはそれほど厳密でなくてもよいものがあり、それに応じた通信のしかたが、送り手と受け手だけで決められるということは、意味が大きいと思います。
今後、とくにマルチメディアが進展していった場合に、送り方・受け方を自分で自由に選べるということはますます重要になるでしょう。
その場合に、インターネットにつながってインターネットの仕組みのあるコンピュータが、いちばん身近なところにあります。
新しい技術、新しい通信の要求に対してフレキシブルに対応するために、インターネットは有効な仕組みであるということが言えます。
通信サービスのコストの問題コンピュータの機能が飛躍的に発達した今、知性のない端末に代わってネットワークの両側にあるコンピュータは、データ通信に必要なほとんどの処理を行うことが可能になりました。
「中間」ではなくて、両側がほとんどの処理をするということは、「中間」はこれまでにくらべてずっと簡単でよいということになります。
回線は設置しなければならないものの、それ以外の処理のためのリソースは、ほとんどいりません。
こういうわけで、インターネット綱のコストはこれまでのデータ通信よりもはるかにコストがかからないのです。
また、課金方法も違ってくるはずです。
先に説明したように、既存のデータ通信網は、結果的に到達したデータの量に比例する「従量課金」です。
データ通信の途中で多くの処理をしつつ、何度再送しょうが、「結果」で課金をしています。
しかしインターネットが、このような通信網を中間の経路に使うと、同じ情報を相手に送るときに、今日は一回で行くかもしれないが、明日は一〇〇回再送するかもしれないのですから、それに比例して料金を変えるというのは、実際的ではありません。
しかも、インターネットではそれらの処理を全部、手元のコンピュータが行いますし、そもそも通信のほとんどを手元のコンピュータが制御していますから、もし両端のコンピュータを含んで正しく従量課金をしようとしたら、世界中の自律したコンピュータの作業を逐―把握しなければならないということになります。
そんなシステムが可能かどうか、技術的にも答えは出ていません。

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